歯を支えているまわりの組織(歯肉、歯槽骨など)の病気が「歯周病」です。 歯周病は自然に治ることはありません。虫歯と違いほとんど痛みがなく、気づかないうちに進行します。ほっておくと症状は急速に進行し、やがて歯が抜けます。
1.歯周病の最大の原因がプラークです。細菌の集団であるプラークが出すさまざまな物質によって歯肉に炎症がおこり、同時に細菌を攻撃するための細胞が自体から出てきて、細菌と体の抵抗力との闘いが始まります。細菌が増加し、防衛能力を上回ると炎症が進行します。
2. 歯面に付着したプラークは時間がたつと石灰化して歯石となり歯肉を刺激し、炎症を悪化させます。炎症が進むとやがて歯槽骨が溶解し始めます。
3. 細菌の中の歯周病関連菌の質と量、それらの作用時間、治癒力とのバランス、自分自身の抵抗力が歯周炎の発症と進行の程度の違いと考えられています。
プラークコントロールを欠かさず、お口の中を清潔にしておくことです。 そのためには正しいブラッシング、フロッシングがとても大切です。
定期的に(3ヶ月~1年に1度)歯科医療機関で検診を受け、歯石を取り除きましょう。
歯石は歯ブラシでは取り除けません。
虫歯予防と同じ、砂糖の摂取量や摂取回数を減らしましょう。
全身の健康に注意し、栄養のバランスを整えることも必要です。また、軟らかい食べ物ばかり摂取しないで繊維性の食べ物も取りましょう。
[G]歯肉炎
歯肉にのみ炎症が生じたもので、歯根膜や骨(歯槽骨)までは破壊されていないもの。
プラークや歯石が原因で歯肉に炎症を起こします。歯肉は暗赤色で丸みを帯びて腫れ、歯磨きの時や硬いものを食べた時に出血しやすくなります。正しいブラッシングと歯石除去で良くなります。
[P1]軽度歯周炎
歯(歯槽骨)が歯根の長さの1/3まで消失したもの。
歯茎の炎症が進行すると歯と歯茎の間の付着期間が溶け、歯周ポケットができます。また、歯を支えている骨(歯槽骨)が溶け始めます。
[P2]中等度歯周炎
歯(歯槽骨)が歯根の長さの1/3~1/2程度まで消失したもの。
炎症がさらに悪化すると歯槽骨が溶け、歯根部分が露出し、冷たいものや熱いものがしみたりする事もあります。歯石が歯周ポケットの奥にますます付着し、歯茎が腫れ膿がでてきます。口臭も徐々にひどくなり、歯を支えている骨(歯槽骨)の吸収により歯がグラグラ動きます。
[P3]重度歯周炎
歯(歯槽骨)が歯根の長さの1/2以上消失したもの
歯槽骨がほとんど無くなり歯根が露出し、最期には抜けてしまいます。
毎日の正しいブラッシング、フロッシングでプラークを完全に除去し、口の中を清潔に保つことが基本です。上手に磨けているか、歯科医療機関で指導を受けることをおすすめします。
歯面に付着した歯石を専用の器具(スケーラー等)で除去します。
歯石は歯ブラシでは取り除けません。
ポケットに面した歯根にプラークや歯石が付着するとその一部がセメント質(歯の組織)の中に入り込んで汚染され、根の表面はザラザラになります。
このような悪いセメント質を取り除いて根面をつるつるにし、プラークの再付着をふせぎ、歯と歯肉を再びくっつきやすくします。
ポケットが深くなると汚れが停滞しやすくなり、悪循環を生じます。歯根についた歯石とともに細菌に侵された悪い歯肉の一部も取り除き、歯周組織の炎症を改善し、ポケットを浅くする処置をします。
■歯がしみる [知覚過敏(Hys)]
根の部分が露出し、刺激を敏感に感じるようになるかもしれません。 ブラッシングで徐々におさまってきますが、我慢できない症状なら歯科医院でしみない処置をしてもらいましょう。
「シュミテクト」や「フッ素入り歯磨き」、「フッ素ジェル」などで磨くのも効果的です。しみるのでブラッシングを怠るとまた悪循環を繰り返します。
■歯が伸びたような気がする
歯石を除去し、炎症で腫れていた歯ぐきが引き締まったので歯が伸びたように感じますが、伸びたわけではありません。